睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群(SAS:Sleep Apnea Syndrome)とは、眠っている間に呼吸が止まっている状態が繰り返される病気です。眠っている間に低酸素状態になるので睡眠の質が低下してしまい、十分な睡眠がとれないため、日中の眠気、だるさ、集中力の低下など症状を引き起こします。また、睡眠時無呼吸症候群は高血圧、脳卒中、心疾患などの危険因子となることが知られています。
睡眠時無呼吸症候群には主に2つの種類があります。閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA: Obstructive Sleep Apnea)と中枢性睡眠時無呼吸症候群(CSA: Central Sleep Apnea)です。閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)は、のどの空気の通り道が狭くなることによって無呼吸になってしまうものです。原因の多くは肥満で、首まわりに脂肪がつき気道が狭くなってしまうからです。他にも扁桃肥大や鼻炎、鼻中隔弯曲症、顎が小さい、舌が大きい、加齢、飲酒などが原因となります。中枢性睡眠時無呼吸症候群(CSA)は、呼吸の指令を出す脳の呼吸中枢の機能異常によって起こりますが、睡眠時無呼吸症候群における割合は閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)よりも頻度ははるかに少ないです。原因は脳卒中、脳腫瘍、神経疾患、心不全などです。睡眠時無呼吸症候群は、成人男性の約3~7%、女性の約2~5%にみられます。
閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)の原因
・肥満・首太型
・飲酒・過労
・鼻炎や鼻中隔弯曲症など鼻閉(鼻づまり)を起こす病気
・アデノイドや扁桃の肥大
・顎が小さい小顎症、舌が大きい巨舌症など
閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)では睡眠中に気道が狭くなるのでいびきをかきます。眠っている間に呼吸が止まると低酸素状態になるので呼吸を再開させようと脳が覚醒し(実際に目が覚めてしまうこともあります)、十分な睡眠がとれなくなります。そのため、日中の強い眠気、集中力の低下を引き起こします。日中の眠気が交通事故や労働災害の原因になりかねない危険性があります。無治療の場合、様々な臓器に障害を及ぼす危険性が高くなります。本来は休息すべき時間である睡眠中に無呼吸状態が繰り返されるため、心臓や体全体に大きな負担がかかります。最近の研究では、高血圧や糖尿病、脳卒中、心臓病など多くの生活習慣病との関連も明らかになっています。 睡眠時無呼吸症候群は早期検査・治療が重要な病気と言えます。
睡眠時無呼吸症候群では以下のような症状があらわれます。
お心当たりの症状がある場合にはお早めの受診をお勧めします。
・いびきをかく(ご自身で自覚がなくても、指摘されたことがある)
・日中に眠気を感じる
・いつも熟睡感がない
・居眠り運転を起こしそうになる
・夜間に何度も目が覚める
・起床時の頭痛やだるさがある
・集中力・記憶力の低下を感じる
問診で日中の眠気の程度やいびきの有無、毎日の睡眠の状況などの症状や体重の変化、高血圧などの既往歴についてお伺いします。鼻鏡や内視鏡、場合によりCT検査などによって鼻やのどの上気道の状態を確認します。睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合は、ご自宅でできる簡易型検査機器を使って睡眠時の状態を検査していただきます。鼻の下や指にセンサーを取り付けて眠っていただき、睡眠中のいびきや呼吸の状態、血中の酸素の濃度を調べます。検査結果によって必要と判断された場合は、さらに睡眠ポリソムノグラフィー検査という精密検査を行います。
中枢性睡眠時無呼吸症候群(CSA)である場合は、原因となる病気の治療を行います。閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)と診断された場合は、原因や重症度、症状などに応じて経鼻的持続陽圧呼吸療法(CPAP:Continuous positive Airway pressure)、口腔内装置(マウスピース)、手術などを選択して治療を行います。生活習慣の改善も大切になります。肥満の方は食生活の見直しや適度な運動を取り入れて減量を心がけるようにしましょう。就寝前の飲酒はのどの筋肉を緩ませてしまい、睡眠時無呼吸を悪化させるので控えましょう。睡眠薬を服用している方は主治医にご相談下さい。
睡眠時にCPAPという小型の医療機器を装着する治療法です。睡眠時に専用の鼻マスクを装着し、鼻から気道に向けて一定の圧力をかけた空気を送り込むことで狭くなった気道を押し広げるものです。空気が通りやすくなることで無呼吸や低呼吸の状態を改善され、低酸素状態が改善されます。いびきや日中の眠気、だるさなどといった症状の改善を図ります。CPAPは睡眠時無呼吸症候群の重症度の基準を満たした方に対し、保険診療としての治療が認められています。適切な治療管理を継続していくために、定期的な受診が保険診療の条件となっています。
軽症の睡眠時無呼吸症候群の方に適応になります。睡眠中に、マウスピースを装着する治療法です。下顎を前方に出すことによって気道を広くして空気の通り道を確保する治療法です。マウスピースでの治療を行う場合は、一人ひとりにあったものを作る必要があるため、作製のために歯科医をご紹介いたします。
アデノイドや口蓋扁桃の肥大、鼻中隔弯曲が原因である場合は、手術による治療が適応となる場合があります。手術が適用になる場合には、専門の医療機関をご紹介いたします。
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