鼻の症状
鼻の症状
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鼻は、においを嗅ぐという「嗅覚」という機能のほかに、鼻から吸った空気を加温・加湿・浄化する機能もあります。鼻は外鼻、鼻腔、副鼻腔の3つから構成されます。外鼻は、いわゆる「鼻」で外から見える顔の中央に位置する隆起です。鼻腔は鼻の穴に相当し、中央を鼻中隔という壁で左右に分けられています。副鼻腔は、頭蓋骨の内部にある空洞の部分で鼻腔とつながっています。
鼻腔の上方には、嗅上皮というにおいを感じ取る細胞がいます。においの粒子を嗅上皮にあるにおいの細胞が感知すると、嗅神経を通して脳へと伝わり嗅覚となります。また、鼻腔は肺へとつながる空気の通り道として大切な役割を担っています。肺や気管を守るために、吸い込んだ空気を温め、加湿し、ウイルスや細菌、ホコリなどの異物を除去して、きれいな空気を肺に送り込むためのフィルターのような役目をしています。そのため、鼻が障害されると嗅覚の悪化や鼻つまり、鼻水といった様々な症状があらわれます。また、口呼吸となってしまい吸った空気が浄化されなくなり、口呼吸からウイルスや細菌が肺に入ってしまい、体に様々な悪い影響を与えてしまいます。
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アレルギー性鼻炎とは:アレルギーを起こす原因物質(アレルゲン)を吸入することによって、鼻の粘膜でアレルギー反応が起こり、くしゃみ・鼻水・鼻づまりといった症状を来す鼻炎です。季節に関係なく一年中引き起こされる通年性アレルギー性鼻炎とスギ花粉症のように特定の時期に引き起こされる季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)があります。
原因:アレルゲンが体内に入ってくると、それを排除しようと生体の防御反応が働きます。アレルゲンが繰り返し体内へ入ると、そのアレルゲンに対する抗体が体の中で作られます。再びそのアレルゲンが体内に入ると、抗体がそれを攻撃して過剰な反応を起こします。これがアレルギー反応です。アレルゲンが鼻の中へ入り、鼻の粘膜でアレルギー反応を起こすと、くしゃみ・鼻水・鼻づまりなどのさまざまな症状があらわれ、アレルギー性鼻炎となります。
通年性アレルギー性鼻炎の原因アレルゲンとしては、ハウスダスト、ダニ、動物の毛、真菌などがあります。通年性アレルギー性鼻炎は3~10歳頃のお子さんの時期に発症しやすく、気管支喘息やアトピー性皮膚炎などの他のアレルギー疾患を合併していることが多いです。季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)の原因アレルゲンとしては、スギ、ヒノキ、ブタクサなどがあります。季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)は学童期以降で発症することが多く、目の充血やかゆみなどアレルギー性結膜炎を合併することが多いです。日本人の約4人に1人が通年性アレルギー性鼻炎、約2人に1人が季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)であるといわれています。
症状:くしゃみ、鼻水、鼻づまりがアレルギー性鼻炎の3大症状となります。季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)ではアレルギー性結膜炎を併発することが多いので、目の充血やかゆみの症状を伴うこが多いです。これらの症状から睡眠不足になってしまったり、集中力の低下から仕事や勉強に支障をきたしてしまうこともります。
検査:鼻の粘膜の腫れや鼻水の性状を確認します。また、鼻水の中に好酸球というアレルギー反応に関わる白血球の一種が現れていないか検査します(鼻汁中好酸球検査)。原因アレルゲンを特定するためには血液検査を行います(血清中抗原特異的IgE抗体検査)。
治療:まず大切なことはアレルギー性鼻炎を起こす原因アレルゲンを避けること、除去することです。マスクの着用やこまめな掃除、うがいや手洗いをきちんと行うなど、日々の生活から気を付けて対策することが大切です。
症状が強く出る場合は、症状に応じて薬による治療を行います。抗ヒスタミン薬、ステロイド点鼻薬といったアレルギー反応を抑える薬を組み合わせて使用します。目のかゆみが強い場合には抗ヒスタミン薬、ステロイド点眼薬も併用を考えます。
また、ダニによるアレルギー性鼻炎、スギ花粉症の方には舌下免疫療法という選択肢もあります。舌下免疫療法とは、長い治療期間を要しますが、原因となるアレルゲンを少しずつ摂取することで、体を徐々にアレルゲンに慣れさせて、アレルギー反応を起こしつらい体質に変えていくという治療法です。薬による治療で効果不十分な方(特に鼻づまりのある方)や薬を内服するのが難しい方はレーザー治療もあります。当院では舌下免疫療法、炭酸ガスレーザー治療を行っておりますのでお気軽にご相談ください。
副鼻腔炎とは:副鼻腔とは頭蓋骨の内部にある空洞の部分です。この副鼻腔に何らかの原因で炎症が起きた状態を副鼻腔炎といいます。
原因:副鼻腔は鼻腔と狭い交通路でつながっており、この交通路を介して換気や分泌物の排泄を行っています。感染などの炎症やその他の物理的な影響でこの交通路が狭くなる、あるいは閉じてしまうと副鼻腔の換気と排泄が障害されてしまい炎症を起こして副鼻腔炎となります。
副鼻腔炎には、急性副鼻腔炎、慢性副鼻腔炎、好酸球性副鼻腔炎、歯性上顎洞炎、副鼻腔真菌症など様々な種類があります。急性副鼻腔炎はかぜなどの上気道炎の炎症をきっかけに発症することが多く、1ヵ月以内に症状が治まる副鼻腔炎です。アレルギー性鼻炎がきっかけになることもあります。鼻腔に炎症が起こることで鼻の粘膜が腫れ、鼻腔と副鼻腔をつなぐ交通路が閉じてしまいます。すると副鼻腔内に粘液が溜まり、ウイルスや細菌が増殖して急性副鼻腔炎になります。慢性副鼻腔炎は3か月以上症状が持続する副鼻腔炎で、急性副鼻腔炎が治りきらずに炎症が長引いて起こることが多いです。好酸球性副鼻腔炎は難治性の副鼻腔炎で気管支喘息を合併している方が多く、アレルギーが関与します。歯性上顎洞炎は、虫歯や歯周病などの炎症が副鼻腔の1つである上顎洞に波及して起こる副鼻腔炎です。副鼻腔真菌症は真菌が原因となります。
症状:鼻水、鼻づまりを認めます。鼻水の性状は病状によって様々ですが、黄・緑色のねばねばした粘性・膿性の鼻水であることが多いです。鼻水がのどに流れ落ち(後鼻漏)、痰からみや咳が出ることもあります。副鼻腔に膿が溜まり、炎症が起きるので頭痛・頭重感、頬や鼻の付け根の痛みなどの症状があらわれます。鼻の粘膜が腫れるので、においを感じつらくなることもあります。副鼻腔は歯の付け根と近い部位もあるので歯の痛みを感じることもあります。
検査:鼻の粘膜の腫れや鼻水の性状など鼻腔内の様子を鼻鏡や内視鏡を使って確認します。副鼻腔の炎症の様子を観察するためにCT検査などの画像検査を行うこともあります。
治療:急性副鼻腔炎では抗菌薬の使用、鼻の処置、ネブライザー療法によって治療します。慢性副鼻腔炎では、マクロライド系抗菌薬を通常量の半分量で3~6か月の長期間投与します。鼻の処置、ネブライザー療法、鼻洗浄なども組み合わせて治療します。これらの治療を行っても改善がみられない場合は、内視鏡手術による治療を検討します。
お子さまがかかる副鼻腔炎のことをいいます。小さなお子さまは鼻腔、副鼻腔が発育段階で未熟であることや免疫能力が未発達であるといった理由から、かぜなどの感染症から副鼻腔炎にかかりやすい状態にあります。小さなお子さまは、症状をうまく伝えられないことが多いですが、鼻水・鼻づまりがある、口呼吸になっている、いびきをかく、よく鼻いじる、息が生臭いなどの症状がある場合はご注意ください。治療は抗菌薬の内服、鼻の処置、ネブライザー療法などを組み合わせて行います
鼻中隔弯曲症とは:鼻の穴を左右に分けている鼻中隔という壁が極端に左右に曲がっているため、鼻づまりや口呼吸、いびき、においを感じにくいなど症状がある場合を鼻中隔弯曲症といいます。
原因:成長に伴って鼻中隔が曲がってしまうことが多いです。鼻中隔は骨と軟骨で形成されています。成長の過程では骨よりも軟骨の方が発育は盛んなため、この差によって弯曲してしまいます。スポーツや事故などの外傷によって曲がってしまうこともあります。
症状:鼻中隔の弯曲によって鼻腔が狭くなるので鼻づまりの症状が主にみられます。弯曲が強い場合は、口呼吸となってしまったり、いびきを生じることもあります。また、においの粒子が鼻腔を通過しにくくなるのでにおいを感じにくくなることもあります。また、鼻中隔弯曲の影響で鼻腔と副鼻腔をつなぐ交通路が狭くなり、副鼻腔炎を合併することもあります。
検査:鼻中隔、鼻腔の様子を鼻鏡や内視鏡で観察します。副鼻腔炎の合併が疑われるときはCT検査を行うこともあります。
治療:鼻中隔弯曲は軽度のものを含めると大人の約80~90%の方に認められますが、無症状のものであれば治療の対象とはなりません。鼻づまりなどの症状がひどく日常生活に支障が出る場合や副鼻腔炎を合併している場合では治療の適応となります。抗ヒスタミン薬やステロイド点鼻薬、ネブライザー療法などを組み合わせて治療します。薬による治療で改善しない場合や根治を目的とするためには、鼻中隔矯正術という手術を行います。鼻中隔矯正術では、弯曲した鼻中隔の軟骨・骨の部位を切除して取り除き、まっすぐに矯正します。手術は骨の成長が終わった思春期以降に行うことが勧められています。
鼻血(鼻出血)とは:鼻の血管、粘膜が何らかの原因で傷つき出血したものです。
原因:原因の多くは鼻を強くかむ、鼻をいじるなどの物理的な刺激によって起こります。鼻の粘膜には豊富な毛細血管がありますが、物理的な刺激によって鼻の粘膜が傷つき血管が破れて出血を起こします。高血圧、糖尿病、肝不全、腎不全、血液疾患などの持病がある方や、血液をサラサラにする薬を内服している方は出血しやすく、止血しにくくなっていますので注意が必要です。また鼻血を繰り返す場合、鼻腔の腫瘍が原因となっている可能性もあります。繰り返す鼻血の症状がある方はご相談ください。
検査:鼻腔の様子を鼻鏡や内視鏡で観察し、出血部位を確認します。
治療:出血部位の多くは鼻腔の前方のキーゼルバッハ部位(鼻の入口付近)という毛細血管が密集している部位です。そのため、鼻血が出た際の対応として、指で小鼻を強くつまんで圧迫しましょう。この小鼻を圧迫する方法を行うと止血しやすくなります。この時に、座った状態で下を向きながら鼻を圧迫しましょう。上を向いたり、横に寝てしまうと血液がのどへ流れ込んできてしまいます。出血を繰り返す、止血が難しい場合は医療機関を受診してください。出血する血管を焼いて止血するなどの処置が必要となります。